赤い月 参
なんつー色気のねぇキス
(そりゃ、笑えねぇわ。)
お互い表情もなく見つめあったまま。
長い時間が過ぎたような気がするけど、三人はまだ戻らない。
月明かりの下、静寂に包まれて二人きり。
鬼と人…
だが、沈黙を破った景時の言葉は、およそこの場にそぐわないものだった。
「ねぇ。
俺にもご褒美ちょーだい?」
「‥‥‥は?」
「さっき、あのボーズにやってたじゃん。
イイでショ?
俺も頑張るからさ。」
「…
そなたまで、童のような…」
うさぎが呆れたように首を振る。
そしてしばらく景時を見つめた後…やけに寂しそうに微笑んだ。
「…そうじゃな。
そなたにも褒美をやろう。」
うさぎは景時の背の高さに合わせて浮かび上がり、彼の赤い前髪を白い手で撫で上げた。
長い睫毛をそっと伏せ、その額に口づけを…