赤い月 参
「?!」
突然景時の腕が、うさぎの華奢な腰を痛いほど抱き寄せた。
驚いて目を見開いた彼女の後頭部を片手で抱え込み、無防備な紅い唇を塞ぐ。
噛みつくような乱暴なキス。
舌が強引に歯をこじ開けて侵入し、這うように口腔を犯す。
微かに血の味がする。
骨をも容易く噛み砕く鬼の牙で、舌を傷つけたのかも知れない。
うさぎは身を捩った。
だが肝心な部分が完全にホールドされていて、逃れることができない。
獰猛で容赦のない、暴力のようなその行為。
なのに…
切ない。
胸が痛む。
うさぎは抵抗も浮遊もやめ、景時にその身を預けた。