赤い月 参
景時なら
急に光りだした池を見て、水原の胸は期待に高鳴った。
凶々しさは増すものの、池に目立った変化がないのは、捧げ物が足りないせいだと思っていたが、熟成期間が必要なだけだったのかも知れない。
始めは気づかないほどだった小さな光は徐々に大きくなり、今では辺りを昼のように照らしている。
目を凝らせば、池の中央を昇ってくる影が見えた。
あの人の言葉で、心が折れてしまう前で良かった…
水原は自嘲気味に笑った。
ナニカが現れる。
チカラが手に入る。
もう何も考えるな。
だが池から姿を現したのは、彼が待ち望んでいたものではなかった。
むしろ、今一番会いたくない相手…