赤い月 参
その中心が渦を巻き、蒼龍の後を追って天に昇り出す。
高く。
高く。
螺旋を描いて舞い上がる泉を一瞥したうさぎは、素早く大地に両手を着いた。
震えはない。
怒りもない。
父なる大地は穏やかだ。
うさぎは深く頭を垂れて、溜め息を吐いた。
憔悴しきった景時を想像して、口元が緩む。
(ご苦労、景時。
さて、ここからは妾の仕事じゃ。)
うさぎは立ち上がった。
上昇する水柱を見上げる凛とした表情には、先程の物思いの名残はない。