赤い月 参

(どーなって…???)


アンタ、死にそーだったヨネ?

マボロシ?

幻覚見てた??

ポカンと口を開けたままの水原の頭を、白い手がクシャクシャになるほど撫でた。


「たった今、そなたは恩讐を越えた。
心の命ずるまま、自由に生きるが良い。」


「‥‥‥‥‥騙したな?」


「ハっ」


うさぎが笑った。

悪戯が成功して喜ぶ、少女のように。

羽織を脱ぎ、身を屈めて水原の頭に被せながら片目を閉じる。


「許せ。
嘘は女の特権じゃ。」


「‥‥‥‥‥ハイ/////」


…完敗だ。

彼女には敵わない。

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