赤い月 参
え? は? ドコに?
「え?
騙されたのって、俺だけ?」
スーツも髪も乱れまくった元・ミスターパフェクトが、不思議そうに言った。
「妾は鬼神。
あの程度でくたばる訳がなかろう。」
うさぎはさも当然と胸を張る。
「「それ以前に、あの『きゃー』はナイ。」」
土の上に寝転がった景時と、同じく土の上に座り込んだ薫が力なく口を揃えた。
薫の結界の中のことは、全て見えていた。
うさぎが口を尖らせて睨んでくるが、ごめん、女優の才能は皆無だと思う。
夜明けにはまだ早いが、長い一日がやっと終わった。
でもって、疲れた…
荒れ狂う鬼気と龍気と『闇』を閉じ込め続けた薫は立ち上がれないし、地を鎮めた景時に至っては起き上がることすらできない。