赤い月 参
「迷惑かけて悪かったな。
ここまで車で来てるから、家まで送るよ。」
疲労困憊の二人に、水原が頭を掻きながら申し訳なさそうに言った。
「なんか奢れよー。」
「肉を食わせろー。」
「ハイハイ。
でも、野菜も食え。
今度ちゃんと秋時さんにも謝罪に行くから、その時にでも。」
聞いたことのあるセリフ混じりに、水原が笑う。
彼は変わった。
口調も雰囲気も。
なんて言うか…自然だ。
無理をしているようなところがなくなった。
きっと、これが元々の彼自身なのだろう。
「皆、今宵はご苦労であった。
早く帰って休むが良い。」
「え?
うさちゃん、帰ンないの?」
三人に向かって鷹揚に声をかけたうさぎに、景時がすかさずツッコんだ。