赤い月 参
景時の不安は、ひとまず杞憂のようだが…
「うさぎは… 強い?」
「‥‥‥‥‥無論。」
そんなに儚く笑うのに?
泣きそうな顔で笑うのに?
いっそ、声を上げて泣けばいいのに。
だがうさぎはまだ、景時に全てを曝け出す気はないようだ。
(そんなに頼りねぇカナぁ…
結構、頑張ってンだケド。
今日だって‥‥‥
あ。)
口を尖らせていた景時は、ふと思いついて繋いだうさぎの手を引いた。
「うさちゃん、ご褒美。」
「ん?」
「俺、頑張った。
ご褒美、ちょーだい?」
期待にキラキラ輝く景時の目を見て、うさぎは顔を伏せて可笑しそうに笑った。
「そなたは不思議じゃ。
そうしておると、幼子のようなのに…」
白く冷たい指先が、景時の前髪に触れる。