赤い月 参

(…
やっぱデコチューなのね…
でも… イイや。
今は。)


景時は少しガッカリしながらも、目を閉じた。

少しだけね!
ほーんの少しだから!!

滑らかな髪の感触が、頬を撫でる。

柔らかい唇が、軽く触れる。







え?

は?

ドコに?

‥‥‥‥‥唇に‥‥‥‥‥

景時が意識を飛ばしている間に、もううさぎは立ち上がっていた。

赤い瞳が夜空を見上げる。


「蒼が戻った。
妾はゆく。」


フワリと浮かび上がったうさぎが、放心状態の景時を見下ろした。

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