赤い月 参

冬の冴え冴えとした青い月を背に微笑む、美しい少女の姿をした鬼。

まるで一枚の絵画のようだ。


「そなたは大した男じゃ、景時。」


「‥‥‥‥‥
うさちゃん…
帰ってくるよ、ね?」


「当然じゃ。
妾は今宵、そなたのココアを飲んでおらぬ。

よもや、約束を忘れた訳ではあるまいな?」


片眉を上げて景時を睨んだうさぎは、空高く舞い上がった。

呼応するように、碧い龍が姿を現す。

頭を垂れて彼女を迎える龍の角に掴まり、軽々と背に乗り込んだ。

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