赤い月 参
景時が隣に立つうさぎを見下ろすと、さっきまで楽しそうにしていた彼女の様子が変わっていた。
鋭い視線を晴れた空に向け、ナニかの気配を探っているような…
「…景時。
今日はもう帰る。」
緊張を解いたうさぎが、溜め息混じりに言った。
「なんで? なんかあった?
俺も一緒に…」
「そなたは良い。
どうやら見つかった。」
「見つかった…って、まさか追っ手ってヤツ?」
「そうじゃ。
…蒼のお喋りめ。」
景時と薫の顔が引きつった。
徐々に近づいてくる気配を、彼らも感じたのだ。
これは… オニ。
かなり強大な…
真っ昼間から来るか? おい。