赤い月 参

景時が隣に立つうさぎを見下ろすと、さっきまで楽しそうにしていた彼女の様子が変わっていた。

鋭い視線を晴れた空に向け、ナニかの気配を探っているような…


「…景時。
今日はもう帰る。」


緊張を解いたうさぎが、溜め息混じりに言った。


「なんで? なんかあった?
俺も一緒に…」


「そなたは良い。
どうやら見つかった。」


「見つかった…って、まさか追っ手ってヤツ?」


「そうじゃ。
…蒼のお喋りめ。」


景時と薫の顔が引きつった。

徐々に近づいてくる気配を、彼らも感じたのだ。

これは… オニ。
かなり強大な…

真っ昼間から来るか? おい。

< 217 / 223 >

この作品をシェア

pagetop