赤い月 参

「‥‥‥捜したぞ。」


時が止まったようだった。

低いハスキーな声。

浅黒い肌。

切れ長の鋭い目。

鼻筋の通った、精悍で男らしい美貌。

首の後ろで一つに束ねた黒い長髪。

長身で引き締まった体躯。

白いシャツ、黒いジャケット、ブラックジーンズを、実にシンプル且つスタイリッシュに着こなす、モデルのような男。

だが、違う。

この風格。

この尋常でない威圧感。

男だからだろうか、ある意味うさぎより圧倒的だ。

立っているだけなのに、こめかみに汗が伝う。

この感じは…


「…二人目…」


薫が、掠れた声で呟いた。

そうだ、二人目の‥‥‥鬼神。

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