赤い月 参

「久しいな、黒曜(コクヨウ)。」


動けなくなった5人を尻目に、うさぎが微笑む。


(こくよう…)


景時の心臓が嫌な音を立てた。

『‥‥‥く…よ‥‥‥』

腕の中で眠っていたうさぎが呟いた名は…

うさぎの夢の住人は‥‥‥‥‥


「景時。」


色々とキャパオーバーで落ちかけている景時に、うさぎが声をかけた。


「‥‥‥え?」


「帰りに、ローリエを買っておいてくれ。
切れておった。
今夜はビーフシチューじゃ。」


‥‥‥‥‥は?

いや、うん… 買うけど…

うさぎが景時に背を見せて、男に向かって歩き出す。

< 221 / 223 >

この作品をシェア

pagetop