赤い月 参
「久しいな、黒曜(コクヨウ)。」
動けなくなった5人を尻目に、うさぎが微笑む。
(こくよう…)
景時の心臓が嫌な音を立てた。
『‥‥‥く…よ‥‥‥』
腕の中で眠っていたうさぎが呟いた名は…
うさぎの夢の住人は‥‥‥‥‥
「景時。」
色々とキャパオーバーで落ちかけている景時に、うさぎが声をかけた。
「‥‥‥え?」
「帰りに、ローリエを買っておいてくれ。
切れておった。
今夜はビーフシチューじゃ。」
‥‥‥‥‥は?
いや、うん… 買うけど…
うさぎが景時に背を見せて、男に向かって歩き出す。