赤い月 参
高らかな宣言を聞き、秋時が思い切り眉を顰めて水原を睨みつけた。
丁寧だった口調もガラリと変わる。
「おいおい、小僧。
劉聖会がどんな末路を辿ったか、知ってンだろ?
死にたくなきゃ、やめとけ。
手段も経験もないヤツらが束になったところで、痛ェ目に合うだけなんだよ。」
「ご心配には及びません。
この十年で、私はあなたのおっしゃる『手段』を学んできました。
もうオニ狩り僧の方々の真似事をしていた劉聖会ではないのです。」
ズレてもいない眼鏡の位置を片手で直しながら、水原も秋時に冷たい視線を送った。
「今はまだ私一人ですが、実績を上げればまた人も集まるでしょう。
こちらにご迷惑をかけるつもりもありませんので、口出しは無用に願います。」