赤い月 参
「オニを捕らえて、捧げた?
『闇』は払ったのか?」
秋時が眉を顰めた。
「ははは。
そんなことをしてしまっては、生け贄になりませんよ。
ご心配なく。
ドラゴンへ捧げられたオニが、再びこの世に戻れるはずがない。」
得意気に顎を反らし、鼻息を漏らした水原を見て、秋時は目を閉じ眉間に指を当て、景時は足を崩して座卓に頬杖をついた。
どーするよ、このバカ。
魔法使いとじゃ、話が噛み合わねーよ。
もーほっときゃイイんじゃね?
コイツなら死にそーにねぇよ。
魔法使いだもん。
待て待て。
浄化されてないオニが、どっかに保管されてっかも知れねぇンだぞ?
金剛力士像も真っ青な阿吽の呼吸。
景時と秋時は、目だけで素早く会話した。