赤い月 参
「もっとムリだわっ!!」
座卓に拳を叩きつけて立ち上がった景時は、うさぎの腰に腕を回して座っていた彼女を引き上げた。
その顔は険しく歪み、敵意剥き出しの目で鋭く水原を睨みつける。
「うさぎはダレにもやらねー。
俺ンだから。」
景時とは対照的な冷たい目で二人を見上げた水原が、静かに口を開いた。
「使い魔にそんな格好をさせているのを見た時から、疑ってはいたのですが…
景時さんは、魔に魅入られてしまっているのですね。」
あら?
コレ、俺の趣味みたいに思われてるよ?
でも、そんなコトはどーでもイイ。
「あー、そーだ。悪ィかよ。」
あっさり認める景時に目を丸くした水原は、秋時に真剣な顔を向け、膝を寄せた。
「よろしいのですか?
妖狐は古来より、美しい女に化けて人を誑かす魔性の物。
早く引き離さなければお孫さんは…」