赤い月 参
メイドごっこは継続中だが、もう大人しくしている気はないようだ。
押さえてはいるものの、いつも通りの威厳に満ちたオーラを取り戻したうさぎが、妖艶な微笑みを見せた。
景時が渋々掴んだ手首を解放したにも関わらず、水原はそのままの体勢で真っ赤になって硬直したままだ。
「諦めろ。
そなたの腕では、妾はおろか鬼もまともに狩れぬであろう。
あと十年、修行を積んで出直すがよい。」
おー…
景時と秋時が示し合わせたように手を叩いた。
なんだ、始めっからうさちゃんに任せとけば良かったンじゃね?
あっさり問題解決じゃん。
だが…
「ななななな…
こここれは違う!
おまえを封じることなど、私には容易いことだ!
今のは、その…
じゅ準備不足だっただけだ!!」
「ふん。阿呆が。
そなたの準備が整うまで、鬼は待ってはくれぬぞ。」
パーフェクトの面影はどこへやら、赤い顔で喚く水原を、腕を組んだうさぎが蔑むように鼻で笑う。