赤い月 参

「もう『すとぉきんぐ』には飽きたのか?
それは良い。
妾の散歩も晴れて解禁というわけじゃな。」


満足そうに頷いたその女…

しなやかな肢体。

少女のように細い手足。

片手で捻り潰せそうな首に乗った、小さな美しい顔。

雪を欺く白い肌。

ルビーのように輝く大きな瞳。

幼い面差しなのに、冷めた表情や厚めの紅い唇でやけに妖艶に見える。

膝まで届く銀の髪。

柔らかい曲線を描く、二本の赤く細い角。

景時が焦がれてやまない美しい鬼神(キジン)が、素肌に男物のYシャツを纏っただけの犯罪誘発スタイルのまま窓のクレセント錠に手をかけた。

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