赤い月 参

(おいおい、聞き捨てならねぇな。)


景時はムクリと起き上がり、今度はうさぎの腰ではなく、その華奢な体全部を閉じ込めるように、しなやかな筋肉のついた腕で包みこんだ。

その様子を見た祥子と小鞠の顔が、ゲっ、と引きつる。


「イイじゃねぇかよ、高杉化。
ソレが愛だよ、愛されてンだよ、祥子ちゃんがどっか行かないか心配で…あれ?

大吾、なんか言ってた?」


「ううん。
なんかあった?って聞いたケド、別にってさ。」


「ふぅん…」


心配。
心配、ね。

聞いていた薫もノッソリ起き上がり、5人は無言で視線を交わした。

大吾はすぐに合流した。

いつも通りみんなでゲーセンに行った。

うさぎが涼しい顔のまま『〇鼓の達人』鬼モードでフルコンボを叩き出し、みんなで爆笑した。

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