赤い月 参
かぐや姫より存在が希薄
箸がテーブルの中央に置かれている大皿に伸びる。
目指すは、湯気がたつ熱々の唐揚げ。
その箸の進路を塞ぐように、かぼちゃの煮物が入った小鉢が突き出された。
「さっきも唐揚げを食べてただろう。
野菜も食べなさい、野菜も。」
「「お母さんか!」」
眉を顰める水原に、景時と薫がダブルでツッコんだ。
「大体アンタ、なんで毎晩ココでメシ食ってンの?」
膨れっ面の景時に箸の先を顔に向けられた水原は、彼を睨みながら銀縁眼鏡の位置を直す。
「行儀がなってないぞ。
うさぎさんが用意してくれているんだ。
食べないほうが失礼だろう。
君に指図される覚えはない!」
「いやいや。
ココ、俺ン家だから。」