赤い月 参
「そーだよー?
一人で息巻いてても、イイコトないよー?」
「そーだぞー?
そろそろ諦めて、人生楽しんだほうがイイぞー?」
景時と薫が、なー?、と揃って首を傾げる。
溜め息を吐いた水原は静かに箸を起き、眼鏡の奥の睫毛を伏せた。
「君たちに、私の怨みと憎しみはわかるまい。
私は君たちくらいの頃、オニに家族を奪われた。
父も母も、幼い妹も。
私は生涯をかけてオニに復讐を遂げると誓ったのだ。」
景時と薫は顔を見合わせた。
うさぎは興味なさげに踵を返し、盆を置きにキッチンへ戻る。
「なー、オッサン。
俺も一緒。
小学生ン時、空手の合宿から帰ったら家中血の海だったわ。
コイツなんてもっとガキの頃、スプラッター生ライブ見てンぞ。」
「や、俺の母親の場合は、違う事情があったみたいだケドね?」
頬杖をついて人指し指を向けた薫に、景時は片手をヒラヒラ振った。