赤い月 参

黒かったうさぎの髪が、瞳が、色を変える。
二本の角が誇らしげに天を指す。

相変わらず景時のYシャツ姿だが、禍々しくも神々しい鬼気を纏った鬼神が現れた。


「‥‥‥‥‥
え… また変化…」


「そうではない。
変化を解いた。
妾は妖狐如き獣の成れの果てではない。
鬼じゃ。」


(あーあ、やっちゃった。)


なんかややこしいコトになりそーだから、化けっぱなしで『妖狐』で押し通すつもりだったンだケド。

やっちまったモンはしょーがねぇよ、と水原が固まっている間に、景時は口いっぱい唐揚げを頬張った。
見れば、薫も素知らぬ顔で黙々と箸を進めている。

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