赤い月 参

「…
その誰かが…
母さんを食べてたオニが、振り向こうとするンだ。
それが…」


「恐いのか?」


「‥‥‥‥‥」


景時は俯き、無言で腕の力を強めた。


(まじでカッコ悪ィな、俺。)


こんなに細くて折れそうなうさぎに、縋りついちゃって。

薫にも話したコトない弱みを晒け出しちゃって。

もうやめようって思うのに、耳や額に触れる冷たく優しい手が気持ちよくて止まれなくて…

コレがきっと、甘えるってコトなんだろう。


「恐れることはない。
たとえ、その夢が現であろうとも。」


「え?」


景時がうさぎの腰から片腕を放し、それを支えに身を起こす。


「うさぎ…
なんか知ってンの?」

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