赤い月 参

「知らぬ。
だが、妾はそなたの加護に触れた。
その加護には、恐怖の念も後悔の念もない。」


「…
じゃあ、ナニがあンの?」


「二つの声。
三つの名前…
『ちかげ』『ぜんき』そして景時、そなたの名じゃ。
心当たりはあるか?」


景時は、ベッドの脇にあるサイドボードに目をやった。
そこには、秋時にもらった母・千景の手紙が仕舞ってある。


(心当たりっつーか…
もろビンゴじゃん。)


「ほ、他は?」


絡めた腕でうさぎの腰を揺すり、先を急かす。


「そなたを守るという、強い意思。
それから‥‥‥‥‥
あれは、睦言じゃな。」


「ムツゴト?」

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