赤い月 参

うさぎが黙りこみ、困ったように景時から視線を逸らした。

彼女らしくない仕草に、不安と緊張が煽られる。

景時は震える声で言った。


「うさぎ… 教えて?」


「‥‥‥‥‥
二つの声が、互いに言い合っておるのじゃ。
その…愛しておる、と。」








ハイ?

そーいえばジジィから聞いたような。
『バカップルだった』って。

なるほどねー、納得したわー。

脱力した景時はベッドに身を沈め、うさぎの腰に額をすり寄せて赤くなった顔を隠した。


「親のそーゆーの、聞くモンじゃねぇな。
ハズ死ねる。」


「阿呆。
口にした妾は、もっと恥ずかしいわ。」

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