赤い月 参
(あら?)
少しだけ顔を上げ、うさぎの顔を盗み見た。
色っぽく厚みのある下唇を軽く噛んで、伏し目気味にそっぽを向いている。
暗くてわからないが、その頬は桜色に染まっているのかもしれない。
景時の口元が甘く綻んだ。
可愛いうさぎ。
優しいうさぎ。
もっと甘えてもイイ?
景時はうさぎの腰に絡めた腕を器用に捻り、彼女をベッドに転がして布団の中に引きずり込んだ。
「景…」
「一緒に寝る!」
うさぎの唇が拒否の言葉を紡ぐ前に、決定事項とばかりに景時が言い放った。
華奢な柔らかい身体を組み敷き、その胸に顔を埋めて目を閉じる。
溜め息が一つ聞こえ、頭が細い腕で抱き寄せられた。