赤い月 参
「景時。
恐れず、その鬼の顔を見ろ。
そして思い出してやるが良い。
その者はおそらく…」
「…
うん。」
「…
今宵はもう眠れ。」
抱きしめたあたたかい身体と髪を撫でる手の感触が、寒さも悪夢も消していく。
(情けねぇ。
助けてもらってばっかだわ。)
でも、もっともっと甘えたい。
だから、君にも甘えて欲しい。
君がいれば、俺は大丈夫。
だから、君にもそう思って欲しい。
月よりも、過去よりも、俺を見て?
なんなら、俺だけを見て?
君の全てになりたい。
君の全てが欲しい。
でも、とりあえず差し当たっての願いは、俺が目を醒ますまで抱きしめていて…