赤い月 参
ココは汚ねぇンだよ
珍しいこともあるものだ。
また明日、と挨拶が飛び交う放課後の教室で、うさぎ包囲網が解かれた。
いつもオナモミのようにくっついている景時もいない。
いつも少し距離を置いて目を光らせている薫もいない。
いつもトイレにまで一緒に行きたがる小鞠もいない。
うさぎは一人で帰り支度をしていた。
今日に限って、どうして…
無理なら諦めもついたのに。
でも、好都合。
そうだろ?
大吾は一瞬きつく目を閉じ、覚悟を決めた。
「鬼神サン。」
「どうした、大吾。」
「その…祥子、今日休みだろ?
ちょっと困ったコトがあるらしくて。
鬼神サンに相談したいみたい。
祥子の家まで、一緒に来てくれる?」