赤い月 参
準備中の札が目立つ、繁華街の中でもいかがわしい雰囲気の通りを歩く。
制服姿の二人を見て、道行く人が振り返る。
制服よりもうさぎ自身が、この辺りを根城にするタチの悪い男たちの視線を集めているのかもしれないが。
わざと薄暗い路地を選んで通っても、彼女は黙って着いてくる。
その美しい顔には、恐怖も戸惑いもない。
大吾は溜め息を吐いて立ち止まった。
「わかんないの?
こんなトコロに家なんかナイよ?」
「そのようじゃな。
家でなければ祥子は何処じゃ?」
まだ、祥子?
状況わかってる?
世間知らずのお姫様も、ここまでくるとただのバカだよ。
「祥子はこの先の…
ほら、あのビルにある潰れたライブハウスにいるよ。」