赤い月 参
そしてとうとう彼らと慈龍寺の運命は、景時一人の手に託された…
「あー…
仕事はしてるから大丈夫なんだケド、ね?」
出来上がったココアを手にした景時が、引きつった笑いを浮かべながらうさぎの隣に腰を下ろした。
「ちょっと問題が…
その…
さっきの話なんだケド。」
「ん?
そなたが『すとぉかぁ』だという話か?」
「…何度も言わないで。
凹むから。
でもまぁ、その話。」
景時からマグカップを受け取ったうさぎは、いつものように天使の微笑みを見せる。
見るからにご機嫌だ。
(今しかない。)
さっきの『俺』と『君』の関係の確認も、そもそも口説き文句として言うつもりはなかったのだ。
雰囲気に飲まれて暴走した挙げ句、撃沈してしまったが。