赤い月 参
おまえは俺だ
キィ…
扉が開いた。
ライブハウスにいた全員が振り返る。
大吾と祥子が驚愕し、叫んだ。
「っっ!!
なんで来てンだ?!
逃げろっつっただろーが!!」
「いやぁぁ!! 逃げてぇぇぇ!!」
「…
揃いも揃って…
そのような泣きそうな顔で逃げろと言われても、のう。」
既に閉じた扉の前で、美しい人が首を傾げて薄く笑った。
規定通り着こなした制服。
艶やかな黒髪。
低めの涼しげな声。
落ち着いた物腰。
そして、純真そのもののような微笑み。
完全に場違い。
西洋魔術で転送されたうさぎは、ライブハウスに姿を現していた。