１％の出逢い
　夜に１回起きてまた朝まで寝た。

　いつものバス停で由香を待っていた。

「おは〜。昨日はどっか行ったの？」

「おはよ〜」

　遥の落ち込んでいる様子に気づいた。

「昨日、何かあったの？」

　昨日の出来事を話した。

「それは遥が悪い。おじさんが怒る気持ちもわかるよ。どうしても治してあげたくて、いろんな病院行ってたくさんの治療をやってくれてやっとおちついてきたんだもん。このままの状態が続けば今年始めての海に行けるんでしょ。私も遥と一緒に行きたいもん」

「そうだけど…」

「そうなの！彼氏に話してないんでしょ？」

　由香を見ながらうなずいた。

「だって言えないよ。嫌われたらイヤだもん」

「だまっててもそのうちわかっちゃうって！それなら始めに遥から話した方が私はいいと思うけど。それで嫌いになるような人ならそれだけの男なんだって！」

　弱々しくうなずく遥。

　今日、蓮に打ち明けようと決意した。

　その日の夜いつものようにバイト先に迎えに来てもらい蓮のマンションに向かった。

　いつもと違う様子の遥に気づいた。

「どうした？何かあったの？」

「部屋で話すよ」

　無言のまましばらくしてマンションに着いた。

　ソファーに座ると話し始めた。

「幼い頃からずっと皮膚の病気で小学校は普通に通うことができなかった。今は治療して全然わからないぐらいまで落ち着いたの。今でも朝と夜は必ず治療しなくちゃいけないの。蓮に嫌われるのがイヤで言えなかった」

　涙を流してる遥にタオルを差し出した。

「俺は遥の見た目に惚れたわけじゃない。性格が好きになったんだ。体がどうなってても遥は遥。朝、帰ってから何か言われたんだよな。俺のせいだ。ごめん」

　蓮の話を聞いて涙が止まらなくなっていた。
きちんとはなせないほどに…。

「蓮は悪くないよ。ちゃんと話してれば良かったのに私の勝手な思いこみでごめんなさい」

「気にするなよ。調子悪くなったのは俺だし。もうこの話は終わりにしよ」

　蓮は台所で料理を始めた。

　遥はその間に洗濯をたたんだり部屋をかたづけたりした。
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表紙・目次

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