揺れる水面 映る月影は何処から


ふと妃絽は離れに繋がる廊下の真ん中で足を止めた。



「もしかしたら、そこに長州の敗残兵が…」



噂が本当で敗残兵が此処に匿われているのなら、今まで行ったことがない離れにいる可能性が高い。



妃絽は目の前の襖を睨みつけていた。



「どうしたの、ひさちゃん?」



すると、そんな妃絽に後ろから声をかける影があった。



「鈴ちゃん」



後ろを振り向くと、そこに立っているのは同じく使用人の鈴だった。



鈴は妃絽に近付くと、左手の方を持ってくれる。






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