揺れる水面 映る月影は何処から
「俺は副長はんにこのことを報告して来るさかい、妃絽も頃合い見て、屯所に戻って来いや。あと、鈴ちゅー女には気ぃ付けるんやで」
そう言い残すと、山崎は闇の中に姿を消した。
「分かってるよ。だって、鈴は――、っ!?」
すると、パキリと小枝が折れる音がする。
それと同時に妃絽に向かって、五本の光る物体が飛んで来た。
妃絽はそれを身体に当たるギリギリ交わした。
光る物体はクナイで、五本すべて急所を捉えていた。
「さすがは長州の敗残兵が逃げ延びる為に雇っただけあって、やることがえげつないな。鈴ちゃん…、いや、リンと言うべきか」