揺れる水面 映る月影は何処から


「…っく!」



妃絽は持ち前の運動神経で急所にクナイが刺さることを防いだ。



しかし、急所には刺さらなかったが、振り下ろされたクナイは妃絽の右の太股を深々と突き刺していた。



刺された痛みと毒の痺れるような痛みで倒れそうになるが、妃絽はどうにか根性で持ちこたえる。



店から拝借していた淡い黄色の着物に紅に染まって行く。



「あら、外しちゃったわ。でも、次は外さないわ」



確実に妃絽を仕留める為に、リンはクナイから短刀に持ち替えた。



短刀は太股に刺さるクナイ同様、変色していた。



妃絽は懐に手を突っ込むと、一か八かの賭けに出た。






< 107 / 270 >

この作品をシェア

pagetop