揺れる水面 映る月影は何処から


――――――――

――――――

――――

――


「はぁ、はぁ、う…っ」



民家と民家の間の狭い路地に身を隠した妃絽は荒い呼吸を繰り返していた。



太股の傷はかなり深いが、クナイが刺さっていることによって出血はあまりない。



もしも、今クナイを抜いたら、出血死は免れないかもしれない。



幸いにもこのクナイは塗布されている毒は身体を痺れさせるだけの神経毒らしく、しばらく安静にしていれば、すぐに抜けるだろう。



しかし、身体が痺れてる間にリン達が来たら――。




「確実に殺られるな…」



妃絽は最悪の状況を考え、苦笑いを浮かべると、目を閉じた。





< 109 / 270 >

この作品をシェア

pagetop