揺れる水面 映る月影は何処から


遠くから妃絽を呼ぶリン達の声と気配がする。



ふと近くに人の気配を感じた。



「マズイ…。逃げないと…」



その場から逃げようと立ち上がろうとしたが、身体が動かない。



何度か立ち上がろうと試みたが、上手く行かない。



妃絽が手間取っているうちに気配は近くなり、足音は次第に大きくなって行った。



ふと足音が止まった――。



そして、こちらに近付いて来る。



その瞬間、妃絽は自らの死を悟った。






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