揺れる水面 映る月影は何処から
すると、そんな重苦しい空気を妃絽の言葉が引き裂いた。
「山崎さん…、クナイを抜いて…」
妃絽の言葉にその場にいた者達は唖然とした。
「なら、麻酔を――」
「麻酔は…いらない…。そんなを効くのを待ってるんだったら、麻酔なしで良い」
刺さったモノを抜く時の痛みは計り知れない。
縫合の痛みも同様だ。
それを知ってか知らずか、妃絽は麻酔なしで良いと言った。
それ程、クナイが刺さる痛みが激しいのだろう。