揺れる水面 映る月影は何処から


しばらくすると、盥に湯を張り、清潔な手ぬぐいを持った斎藤と井上が部屋に来た。



医者が来るのにはまだかかりそうだが、山崎は治療を始めることにした。


「覚悟は良いか、妃絽?」



妃絽はコクリと頷く。



「ほな、抜くで」



山崎はクナイに手をかけると、一気にそれを引き抜いた。



抜かれる瞬間、妃絽は身体を弓なりに反らし、声にならない悲鳴を上げる。



クナイを引き抜いたにも関わらず、出血はあまりなかった。



おそらく、クナイが刺さっている間にほとんど血は止まってしまったらしい。




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