揺れる水面 映る月影は何処から
山崎は清潔な手ぬぐいと酒で傷口を消毒すると、縫合の為の針と糸を取り出した。
縫合は大の大人でさえも痛みで暴れ、終いには吐いたり、漏らす者もいる程だ。
そんな痛みに妃絽は耐えられるのだろうか、と皆不安だった。
しかし、妃絽は呻き声を上げるだけで、その痛みに耐え抜いた。
その後、ようやく来た医者に縫合の具合を診てもらい、治療は終わった。
「大丈夫、妃絽ッ!」
夏樹は布団に横たわる妃絽の顔を覗き込んだ。