揺れる水面 映る月影は何処から
「眠いから寝る」
「薬飲んでから寝ろ!」
「傷は痛くない。ほっとけ」
妃絽は意地でも布団に潜ろうとしている。
ふと、土方の脳裏にある言葉が浮かんだ。
「お前、もしかして、薬が苦手なのか?」
彼の言葉に妃絽はギクリと肩を揺らす。
…図星のようだ。
「だって、苦いじゃん…。しかも、粉薬嫌い…」
「何で?」
「小さい頃、気管に粉薬入ってから駄目になった」
「苦くても嫌いでも飲まねぇとな。傷、痛ぇだろ?」
「…痛くない」