揺れる水面 映る月影は何処から
《十三夜》
1.謎の僧
それから数ヶ月後。
傷跡は残ったものの化膿もせず、傷が完治した妃絽は夏樹と共に街に来ていた。
二人が幕末に来て、早数ヶ月が経つ。
そのせいか、土地勘もすっかり掴め、二人だけで出歩けるようになった。
今日は現代に戻る為の手掛かりを探す為に街に来ている。
「手掛かりないね…」
夏樹は頭の後ろで腕を組みながら溜息を吐いた。
そんな彼を横目に妃絽は顎に手を当て、考え事をしていた。
すると、前から編笠を被り、袈裟を身に纏う僧侶が歩いて来る。