揺れる水面 映る月影は何処から
そんないじける夏樹を無視し、妃絽は僧侶と向き合う。
「あんた、何者?何で、私達のことを知ってるんだ?」
「私は影時(カゲトキ)。時の操り人です」
「時の操り人…?」
「はい。簡単に言えば、私は時を自由に行き来させることが出来るのです」
男――、影時は被っていた編笠を上に少し上げた。
その為、彼の素顔が露になる。
「あんた…、その目…」
妃絽は彼の両目を見ると、目を見開いた。