揺れる水面 映る月影は何処から
「沖田さん?」
返事はない。
もう一度、名前を呼ぼうと口を開こうとした。
「俺達は離れていても君を想っていますから」
沖田はそう囁くと、身体を離した。
妃絽は言葉の意味を尋ねようと彼の方を振り返った。
すると、沖田は哀しそうに眉を寄せながら笑っていた。
「沖――」
「もう寝る時刻です。おやすみ、妃絽ちゃん」
そう言って、彼は自分の部屋に戻って行った。
「何なんだ…?」
沖田の行動に頭を捻りながら、妃絽も自室に戻った。