揺れる水面 映る月影は何処から


髪から水滴が落ちる。



視線の先には浅い池に見慣れた景色、そして――。



「妃絽!夏樹!」



繭と施設の子供達の顔がある。



妃絽はすぐに悟った。



現代に帰って来たのだ。



――と。



「待ってて、今タオルを…っ!」



繭は零れそうになる涙を拭うと、数人の子供達と中に戻って行った。



「とりあえず、出よう?妃絽」



夏樹は立ち上がると池の中に座っている妃絽の手を掴み、彼女を池から出そうとした。




しかし、妃絽は出ようとはしない。



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