揺れる水面 映る月影は何処から
「妃絽?」
「夏樹…、お前はこのことを知っていたのか?」
妃絽は顔を伏せたまま夏樹に問うが、夏樹は何も言わない。
つまり、肯定しているようなモノだった。
「…そうか。私だけか、知らなかったのは…」
妃絽は口角を持ち上げると、自嘲を漏らす。
『俺達はお前が生きていて良かったと思ってる。お前は俺達には必要な存在なんだよ』
彼らは妃絽にそう確かに言った。
しかし、実際は違っていたらしい。