揺れる水面 映る月影は何処から
だから、妃絽は――。
「恨めないじゃん…、馬鹿…」
無理矢理現代に帰したことを恨むことは出来なかった。
すると、頬に涙が伝い、嗚咽が口から漏れる。
両手を池につけば水面に涙が落ち、波紋を作って行く。
一つ、一つ静かに…。
そして、嗚咽が慟哭に変わる頃には数え切れない程になっていた。
それでも、波紋は出来ては消えて行く。
しかし、妃絽の哀しみは消えることはない。
彼らと再会出来る日が来るまでずっと――。