揺れる水面 映る月影は何処から
「妃絽、私達と一緒に暮らしましょう?」
すると、母と思われる女が妃絽にそう提案して来た。
何でも、両親は十八年前に妃絽を捨てたことを後悔し、引き取りに来たらしい。
そんな両親を妃絽は鼻で嘲笑った。
「それで私を迎えに来たの?今更?」
「確かに今更ね。でも、私達は――」
「後悔してるから来たんでしょ?だったら、何でもっと早く来てくれなかったの…」
「それは…」
「両親が死んだと言われ続けたのに、生きてると知った時の私の哀しみがあんたらには分かる!? 私は生きてる権利がないって思った」
妃絽は両親に向かって、怒鳴った。