揺れる水面 映る月影は何処から
「毎日姉さんのことを話してくれた」
妃絽は信じられない事実に呆気を取られていた。
そんな妃絽を気にかけながら、櫂人は言葉を続ける。
「父さん達は毎日のように言ってたよ。『十八年前に悔やんでも悔やみきれないことをした。実の娘を俺達の身勝手な理由で捨ててしまった』って」
「………………」
「父さん達はこれまで何度も姉さんを此処に迎えに来ようとしてた。でも、姉さんが自分達を憎んでいるんじゃないかって恐れて、来るのが遅くなったんだよ」
櫂人の口から聞かされる両親の気持ち。