揺れる水面 映る月影は何処から

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妃絽と夏樹は買い出しを終え、両手に買物袋を抱えていた。



今晩はバーベキューをするらしく、袋の中は野菜やら肉やらでいっぱいになっている。



「ねぇ、妃絽?幕末に戻りたいの?」



浮かない顔をする妃絽に夏樹はそう尋ねた。



「…うん。こっちの時代は私が生きる所で、私を必要としてくれている人もいる。でも、あっちの時代で生活してみて、彼らの傍に在りたいと思うようになった」



こっちの時代に戻って来てから、何かが物足りない。



幕末に比べたら、何不自由ない生活なのに、どうしてもあっちに戻りたくて仕方なかったのだ。





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